インドネシアの古都であるジョグジャカルタ。ジャカルタやバリ島から飛行機でわずか1時間で到着できます。世界遺産に指定されているボロブドゥール遺跡やプランバナン寺院が有名な人気の観光地です。1泊2日以上の滞在をおすすめしますが、日帰りでも楽しめるので気軽に訪問できます。さらに、ジョグジャカルタが誇るクリス(短剣)、ワヤン・クリッ(影絵)、バティックの3つは、世界無形文化遺産にも登録されています。歴史のある古都ジョグジャカルタをお楽しみください。
ジョグジャカルタとは?
インドネシアのジャワ島中部に位置するジョグジャカルタは、古都として知られ、伝統的な王宮文化が色濃く残っています。「平和の町」という意味を持つジョグジャカルタは、ラーマーヤナ物語に登場するラーマ王子のアヨーディヤー国にちなんで名づけられました。インドネシア人からは、親しみを込めて「ジョグジャ」と呼ばれています。
現在、インドネシアはイスラム教徒が90%を占める国ですが、過去には仏教やヒンドゥー教の王国が栄え、その時代に建てられた歴史的な建造物が数多く残されています。特に、バリ島にはヒンドゥー教の信仰が続けられており、そのルーツはジョグジャカルタにあると言われています。また、ジャワ美術の中心地でもあり、バティック、ラーマーヤナ舞踊、ワヤン・クリッなどの伝統芸能が有名です。
ジョグジャカルタ2つの世界遺産
ボロブドゥール寺院
ボロブドゥール寺院は、高さ35メートル、直径125メートルの巨大な円錐形をしています。世界最大級の仏教遺跡の1つとれており、ジョグジャカルタ市内から車で約1時間30分ほどかかる場所にあります。
8世紀から9世紀にかけてシャーレンドラ王朝時代に建設されました。建造には、約50年という歳月を要したといわれています。しかし、この寺院は忘れ去られ、約1000年もの間、ジャワ中部のジャングルに眠ることとなります。1814年に、ようやく、イギリス人のトーマス・ラッフルズによって発見されました。
ボロブドゥール遺跡は、未だに寺院なのか王族の墓なのかなどは解明されていませんが、仏教の宇宙観を表現した巨大な立体「曼陀羅」とも言われています。世界文化遺産に登録された1991年以降、多くの観光客がインドネシア国内外から訪れています。
プランバナン寺院
プランバナン遺跡群は、ジョグジャカルタ市内から車で約45分の距離にあるヒンドゥー教の遺跡です。およそ5km四方に広がる遺跡を総称したものを「プランバナン寺院群」と呼び、インドネシア最大規模のヒンドゥー教寺院です。この遺跡群は、9世紀から10世紀にかけてジャワ島を支配していたサンジャヤ王朝によって建てられました。
プランバナン遺跡群には、幾つもの遺跡が残されており、その中心には「ロロ・ジョングラン寺院」があります。外壁には、インド叙事詩「ラーマーヤナ」をモチーフにした彫刻が施され、ヒンドゥー教美術文化の象徴として観光客を魅了しています。
2006年のジャワ島中部地震では、プランバナン遺跡群の多くが崩壊や損傷を受け、現在も修復作業が続けられています。
ジョグジャカルタで行きたい場所
クラトン
ジョグジャカルタには、歴代のスルタン(国王)が住んでいた宮殿があり、一部は博物館として一般に公開されています。1956年に建設されたこの建物は、ジャワの伝統建築とヨーロッパ文化が融合しています。中には美しい彫刻や調度品があり、スルタン・ハメンク・ブオノ王族の優雅な暮らしぶりや権勢ぶりを垣間見ることができます。
入口には、魔よけの神「カーラ」がいます。この神は、ギョロりとした大きな目と口、インパクトのある顔が特徴で、記念撮影の人気スポットとなっています。
タマン・サリ
インドネシア語で「花園」という意味を持つタマン・サリは、クラトンの近くにかつてあった離宮の跡です。1765年、ハメンクブウォノ1世により建設されました
塔の3階からスルタン(王様)が、ここで水浴びをする侍女を見下ろし、その日の夜をともに過ごす女性を選んだ場所とされています。このことから水の離宮とも呼ばれています。
離宮とはいえ、この建物には有事の際に使用するための全長5kmにおよぶ地下通路があります。また、この建物にはイスラム教の礼拝室や、清めのための泉があったとされ、宗教儀式に重要な役割を果たす建物でした。このように、タマン・サリは、宮廷文化や宗教儀礼など、多様な文化的要素が融合した建築物であったと言えます。
マリオボロ通り
ジョグジャカルタの主要な観光スポットの一つであるマリオボロ通り(Jalan Malioboro)は、ホテル、レストラン、お土産物屋などが軒を連ね、ジョグジャカルタを代表する繁華街として多くの人々が集まります。日中は露天商が活気を見せ、夜になると多くの屋台が集まる食堂街としても有名です。観光客のみならずインドネシア人も集まる賑やかな雰囲気は、インドネシアの活力と魅力を肌で感じることができる場所です。日中だけではなく夜のマリオボロ通りも、時間に余裕があればぜひ訪れてみてください。
ムラピ山
ジョグジャカルタ市内から車で約1時間の距離にあるムラピ山は、「火の山」という意味を持ち、その名の通りインドネシアで最も活動的な火山です。標高2,900mあるこの活火山は、数年に一度、大小様々な噴火を繰り返しています。標高1,700mの地点には、数千人が暮らす村があります。ムラピ山の麓では、ジープに乗って噴火跡を観光することもできます。インドネシアの自然の力強さを感じることができる、訪れる価値のある場所です。
伝統芸能
ジョグジャカルタは、古代の王朝文化を継承する都市であり、ジャワ島の伝統芸能の中心地としても知られています。この地域には、伝統芸能を保護し、維持するための多くの団体が存在しており、本格的な伝統芸能を楽しむことができます。ジョグジャカルタで、豊かな文化遺産を感じながら、伝統芸能を楽しんでみませんか。
ラーマーヤナ舞踊
ガムランの美しい音色に合わせ、輝く衣装を身にまとったダンサーたちが、古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ物語」をダンスで表現します。物語の主人公であるラーマ王子、シータ姫、そして魔王ラーバナの物語を、きらびやかなパフォーマンスでお楽しみください。
ワヤン・クリッ(影絵芝居)
「ワヤン・クリッ(Wayang Kulit)」とは、インドネシア語で「影(Wayang)」と「皮(Kulit)」という意味を持ち、加工された皮で作られた人形を使って行われる影絵芝居を指します。叙事詩「ラーマーヤナ物語」や「マハーバーラタ物語」の世界を、熟練した人形遣いによって影絵で表現します。その独自の美しさと技術から、ワヤン・クリッは世界無形文化遺産に登録されており、ぜひ一度ご覧いただきたい伝統芸能の一つです。
ムラピ山から25km離れた場所にあるボロブドゥール遺跡は、かつてムラピ山の噴火によって火山灰に覆われ、1000年以上にわたって忘れ去られていたとされています。長い年月を経て再発見されたこの遺跡は、ムラピ山の活動を物語る象徴的な存在とも言えます。山の噴火は時に人々を恐れさせることもありますが、同時に驚異的な自然の力を目の当たりにする機会でもあるのです。
古都ジョグジャカルタに行こう
いかがでしたか。インドネシアの歴史では、ヒンドゥー教とイスラム教の両方が信仰されており、現在は90%以上がイスラム教徒です。ジョグジャカルタを訪れることで、このような信仰の背景を理解することができます。
ラーマーヤナ舞踊やワヤン・クリッといった伝統芸能をはじめ、ボロブドゥール寺院とプランバナン寺院という2つの世界遺産をもつジョグジャカルタは、インドネシアの観光に欠かせない場所となっています。ぜひ旅行計画に検討してみてください。