【鉄道ファン必見】タイ・バンコクの蒸気機関車(SL)に乗って旅しよう

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蒸気機関車(SL)は、日本全国で運行頻度が低下しているものの、限られた地方都市で再び運行が始まっており、人気のある鉄道となっています。日本国内でも多くの観光客が、蒸気機関車を目当てに訪れることがあり、観光の目玉の1つとなっています。バンコクをはじめとする海外に住む方にとっては、日本で蒸気機関車に乗ることはあまり機会がないかもしれません。しかし、驚くべきことに、タイ・バンコクでも蒸気機関車に乗ることができるのです。今回は、年に6回しか運行されない蒸気機関車(SL)について紹介します。

目次

バンコクでみられる蒸気機関車

蒸気機関車は日本製

タイには5両の蒸気機関車が存在していますが、バンコクで運行しているのは、なんと日本製の蒸気機関車です。このうち、状態が良い2両は蒸気機関車のイベントで使用され、残りの3両は動態保存されています。

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日本製のC57形蒸気機関車である824号と850号は、1949年と1950年にそれぞれ日本車輌製造株式会社と川崎車両によって製造されました。これらの蒸気機関車は、日本の磐越西線「ばんえつ物語」や山口線「やまぐち号」と同じ形状をしています。

2012年には、タイ国鉄がこれらの蒸気機関車を分解して、ボイラーを交換し、エアブレーキを導入するなどの安全対策を施しました。なお、ボイラーの設計と製造は、日本企業の株式会社ヒラカワが担当しています。

一方、第二次世界大戦中にタイとミャンマーを繋ぐ泰緬鉄道で使用されたのは、C56形蒸気機関車でした。C56形蒸気機関車は、乗車イベントには使用されていませんが、毎年11月にカンチャナブリで行われる「クウェー川鉄橋週間」のイベントで運行されています。

なぜバンコクに日本の蒸気機関車があるのか?

日本製の蒸気機関車がなぜタイ・バンコクで稼働しているのでしょうか。

第二次世界大戦中、日本がタイ国内に約100両の蒸気機関車を持ち込んだ後、戦後アメリカによって押収された一部がタイ国鉄に引き渡されたと言われています。その後、1948年と1950年にタイ政府から日本に直接発注され、日本車輌製造株式会社と川崎重工業株式会社によって製造された蒸気機関車がタイに納入されました。

しかしながら、タイ国内でも経済的な苦境に直面しており、100両以上の蒸気機関車のメンテナンス費用や日本からの貨車の購入に必要な資金がなかったため、タイ政府は日本とのトレードオフを行いました。タイ政府は戦後の日本が食糧不足に陥ることを予想し、食糧援助と引き換えにタイ米を提供して蒸気機関車を購入したのです。

日本製の蒸気機関車は、タイ東北地方の農村からバンコクまでの米の輸送に使用され、そのお米は日本に輸出されることになりました。このような取引が行われたことで、日本とタイの関係がより深まることとなりました。

重油で動く蒸気機関車

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日本国内で活躍する蒸気機関車は、現在でも石炭を燃料として使用しています。一方、タイの蒸気機関車は重油を燃料として使用しています。最初は薪を燃料として使用していたものの、1971年に木材不足を解消するために重油に切り替えられました。下の写真は重油を入れるためのボイラー部分の様子です。

蒸気機関車の中に潜入

通常、一般人が蒸気機関車の運転席に入ることはできませんが、蒸気機関車内部の様子を一部お届けします。

全体図

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こちらは蒸気機関車の運転席の全体像です。手前に見えるのは赤い色をしたボイラーで、ここで重油が蒸気に変わって燃焼します。

運転席

運転席

運転席は全体図の右側に位置しています。座席は小さく、座り心地も重要なポイントですね。

逆転機

逆転機

逆転機は、運転席の前方にあるハンドルで操作されます。このハンドルを操作することで、車輪の回転方向を変更し、前進や後退などの動きを制御します。

機関車のブレーキ

機関車のブレーキ

赤い機械の中央に見える金色の棒が、この蒸気機関車のブレーキです。機関車自体の制動の役割を果たし、後ろに連結された客車のブレーキとは別に作動します。

客車のブレーキ

客車のブレーキ

この部分は機関車本体ではなく、客車のブレーキです。客車の速度を調整するために使われます。

バンコクで蒸気機関車に乗るチャンス

蒸気機関車の運行は、従来は年に4回限定でした。しかし、2016年に国王が交代し、新たな国王と王妃を祝うための祝日が増えたことから、年に6回の運行となりました。これらの運行日は、固定されており、毎年同じ日に蒸気機関車に乗ることができます。(ただし、王族や軍のスケジュールによっては、稀に変更になる場合があります。)

運行日祝日名
3月26日鉄道の日
6月3日スティダー王妃様の誕生日
7月28日ワチラーロンコーン国王陛下の誕生日
8月12日シリキット王太后の誕生日(母の日)
10月23日チュラロンコン大王記念日
12月5日プミポン前国王の誕生日(父の日)

蒸気機関車は、主にタイの王族のお祝いセレモニーのために運行されるものとして知られています。王族の誕生日は、タイの祝日となっていますが、一方で鉄道の日は祝日とはなっていません。ですから、蒸気機関車に乗車する際には、計画を立てる際にはご注意ください。

蒸気機関車の出発時間と出発場所

蒸気機関車は、タイ国有鉄道の最古かつ最大の駅であるフアランポーン駅から出発します。
(※始発駅は変更される場合がございます。)

フアランポーン駅として親しまれているタイの駅は、正式名称をバンコク駅またはクルンテープ駅と呼ばれています。かつてはフアランポーン駅という貨物駅が近くにあったため、バンコク駅をフアランポーン駅と呼び続ける習慣が生まれ、その名前が広く定着しました。この駅は、タイの鉄道網の中でも特に重要で、多くの人々がバンコク市内やその周辺地域を移動するために利用しています。

駅

現在、バンコクのホアランポーン駅は主に観光列車と近距離列車が発着しており、長距離列車は新たに開業したクルンテープ・アピワット駅が担当しています。

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蒸気機関車の出発時間は、目的地によって異なりますが、、一般的には朝8時前後にフアランポーン駅を出発します。出発前には、タイ国有鉄道の社員や当日の運転手によるセレモニーが行われ、写真撮影も行われています。

蒸気機関車の行き先

蒸気機関車の行き先は、毎回異なります。運行の確定前には発表されますが、どの運行日にどこへ行くなどは未定のままです。

通常はフアランポーン駅からアユタヤまでの区間が選ばれますが、有名なピンクガネーシャがあるバンコクの東に位置するチャチュンサオや、世界最大の仏塔であるプラ・パトム・チェディがあるバンコクの西に位置するナコーンパトムにも運行されています。蒸気機関車の乗車体験と合わせて、行き先となる観光地も旅行プランに盛り込むことで、より満足度の高い旅行が実現できます。

蒸気機関車は各区間を往復運行しており、チケットは往復のみ販売されているため、行きと帰りの移動に悩むことはありません。また、各地での滞在時間は4時間から5時間ほどあり、蒸気機関車の停車中に写真を撮ったり、タクシーやトゥクトゥクで主要な観光地を巡ったりするのにも十分な時間があります。

アユタヤ遺跡

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タイには5つの世界遺産がありますが、中でも最も有名なのはアユタヤ遺跡です。1991年にユネスコによって世界遺産に登録されたこの遺跡は、シャム王国のウートン王によって創建されたアユタヤ王朝の時代に始まります。アユタヤ王朝は上座部仏教が主流で、多くの寺院が建てられました。現在でも、アユタヤ王朝初期の寺院が数多く残されており、多くの観光客が訪れています。アユタヤ遺跡は、タイの歴史と文化を理解する上で欠かせない重要な場所です。

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チャチュンサオにあるピンクガネーシャ像

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タイのチャチュンサオ県に位置するワット・サマーン・ラッターナーラーム(Wat Saman Rattanaram)は、東にあるバンコクからのアクセスも良く、巨大なピンク色のガネーシャ像が注目を集めています。この可愛らしいピンク色のガネーシャ像は、神々しい威厳に満ちあふれている一方で、非常に優しい印象を与えます。しかしこの可愛らしい外見とは裏腹に、このガネーシャ像から得られるご利益は非常に強力で、通常の3倍のスピードで願いが叶うと言われています。このように、フォトジェニックな場所としても人気のあるワット・サマーン・ラッターナーラームは、願いを叶えるためのパワースポットとしても知られています。

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バンコクで蒸気機関車に乗ろう

タイのバンコクを走る蒸気機関車(SL)は、毎年開催される大人気のイベントです。蒸気と汽笛の轟音を体感することができ、鉄道ファンや一般の人々から多くの関心を集めています。

個人でもチケットを購入可能ですが、チケットはすぐに売り切れてしまうほど人気があります。そのため、現地オプショナルツアーと合わせて予約することをおすすめします。もしチケットが取れなかった場合でも、フアランポーン駅内で蒸気機関車を見ることができますので、ぜひ訪れてみてください。

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