香港では、古くから「龍脈」と呼ばれる大きな気の流れに乗ることが幸運をもたらすと信じられています。この考え方は、大企業のビルや銀行などの建設にも取り入れられ、一般の人々も日常生活に取り入れています。風水に詳しい方は馴染み深く、香港では様々な場所で風水に関する情報が耳にされます。風水とは何か、どのように解釈されているのか、そして香港における風水の立ち位置についてご説明いたします。
風水とは
風水とは、自然界に存在するエネルギーの流れである「気」に着目し、空間の配置や方角の決定を通じて、運気を調整する古代中国発祥の技術です。一般的には、龍(ドラゴン)をシンボルにしており、空想上の生き物として描かれることが多いです。日本でも、家を建てる際や引っ越しの際に、方角や間取りについて話題になることがありますが、それは風水のテクニックの一つであり、占いやおまじないとは全く異なります。
風水の本来の目的は、国家レベルの意思決定をするための技術であり、歴代の中国皇帝たちが都市や城壁、寺院や宮殿などの建築、戦争の戦術などに応用してきました。現代においても、風水は地理学、天文学、地政学、統計学、環境学、中医学などと密接に関連しています。
風水において、最も重要なのは「気」であり、自然界に存在するエネルギーの流れを読み取ることが大切です。例えば、南向きの窓から陽光を取り入れることで、部屋の明るさや開放感を増すことができます。また、色彩や配置などの要素も重要であり、適切に取り入れることで、気の流れを整えることができます。
中国北西部に位置する崑崙山脈からは、巨大なエネルギーが発生し、中国全土に広がっているとされています。このエネルギーは、風水では龍と呼ばれ、地球上のエネルギーの流れを「龍脈」、そのエネルギーが地表面に現れる場所を「龍穴」と表現しています。中国国内の山脈を通って、香港に向かって気が流れているとされています。
陰陽思想と五行思想
風水は、中国で3,000年以上前に始まった「陰陽五行」という思想に基づいています。この思想は、陰と陽、木・火・土・金・水の五つの要素によって全ての現象を説明するものであり、風水においては、気の流れを整え、バランスを取るためにこれらの要素を取り入れます。
太極図
陰陽のバランスを取るために使用される太極図は、陰陽の相互作用を表しています。太極図には、白と黒の二つの半円があり、それぞれが陽と陰を表しています。また、半円の中にある小さい半円やドットは、陰陽が互いに補完し合っていることを示しています。太極図は、風水においても重要なシンボルの一つとして扱われています。
太極図は、陰と陽を表す図であり、黒い部分は内に蓄積される静的なエネルギーを、白い部分は外に放出される動的なエネルギーを表します。陰陽は善悪や優劣ということではなく、相反するものが表裏一体で循環していることを表しています。陰が強くなれば陽が弱くなり、陽が強くなれば陰が弱くなるように、周期やバランスに着目し、分析し、予測し、行動の指針とする考え方です。
五行思想
五行思想では、「木Wood・火Fire・金Metal・土Earth・水Water」それぞれに、方角、色、季節などさまざまな属性を割り当て、それらの相互関係によって現象を説明します。また、五行には「相生(そうしょう)」と「相剋(そうこく)」の2つの関係があり、それぞれが相互に影響しあっています。五行思想は、自然界における現象を理解し、調和を保つための重要な考え方とされています。
五行思想における相生の関係では、木は火を生み、火は灰となり土を生み出し、土は金を生み出し、金は水を生み出し、水は木を育てます。一方、相剋の関係では、水は火を消し、火は金を溶かし、金は木を切り倒し、木は土を押しのけ、土は水を阻害するとされます。
これらの関係性を利用して、風水では場所や建物の配置などを調整し、エネルギーの流れを整えることで、幸運や成功を引き寄せることを目指します。
風水と色の関係
色彩は風水においても重要な役割を担っており、それぞれの色には意味や象徴があります。以下、代表的な色について簡単に紹介します。
色 | 風水での意味 |
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赤 | 風水でも強い力を持つ火の色。活性化の運気、ギャンブル、ラッキー、おめでたいなどの意味 |
青 | 仕事や信頼、意思疎通という意味 |
黄 | 金運アップ、事業成功、リッチな生活、ときめきなどの意味 |
緑 | 健康、幸福、成長の色 |
茶 | 土の気、土台、自然を表す色 |
黒 | 邪気を払い、守りを固める力があるといわれる色 |
白 | リセット、純粋などの意味 |
香港の街中では、看板やネオンに赤や黄色の原色が多用されていますが、その背後には風水的な意味合いがあると考えられます。これらの色がデザイン上の意図であるかどうかは別として、風水的な観点からは、これらの色が縁起の良いものとされているためです。
風水と数字の関係
風水では、数字にも深い意味があり、香港では特に、数字の発音や意味合いから縁起を担いでいます。
数字 | 数字の意味 |
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1 | 始まり、No1。 運気が生まれる大吉の数といわれる |
2 | 調和、調整。易(yi6)と発音が似ているので、簡単・シンプル という意味もある |
3 | 成長、社会性。 広東語では「生と」近い発音なので、life=生きること に掛けたりする |
4 | 緑、土地、地盤。 風水的には、人間関係の安定 を表す |
5 | 魔除け、厄払い、禁止、中心。 災難から身を守る力がある |
6 | 才能、向上。出世、昇進など、仕事運を得る数字と言われている |
7 | 充実、絶対。「ラッキー7」 の意味 |
8 | 循環、繁栄。 広東語では「發」と発音が似ているので、富・財の意味を掛け、お金が回る非常に良い数字、金運の象徴的数字として扱われている |
9 | 生命力。悪い気を消す力を持つといわれる。 広東語では「久」と同じ発音なので「長寿」と掛けたりもする |
香港の風水まとめ
風水では1から9までの数字にそれぞれ意味があり、車のナンバープレートなどでも重要視されています。香港では、数字の発音や意味合いによって縁起を担いでいることが多く、数字に対するこだわりが強いことが分かります。今回は、風水の基礎的な部分と香港における数字の捉え方について紹介しました。色や数字へのこだわりが、香港の文化にも根付いていることがわかります。運気をあげに香港に訪れてみてください。