「東洋のモナリザ」が眠るカンボジアのバンテアイ・スレイ遺跡とは?

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バンテアイ・スレイ遺跡は、ヒンドゥー教寺院として知られ、クメール美術の至宝と呼ばれる神秘的な場所です。アンコールワットから30kmほど離れたシェムリアップ郊外に位置し、クメール語で「女の砦」という意味を持ちます。この遺跡は小規模な寺院ですが、その美しい彫刻で有名であり、東洋のモナリザとも呼ばれます。他の遺跡からは離れていますが、その価値は高く、半日以上の観光を楽しむことができます。バンテアイ・スレイ遺跡は、クメール美術を理解する上で欠かせない場所です。

目次

バンテアイ・スレイ遺跡とは?

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カンボジアには、世界遺産であるアンコール遺跡が点在しています。その中でもバンテアイ・スレイは、注目を集める特別な場所です。アンコールワットと同じくヒンドゥー教寺院の遺跡でありながら、美しいレリーフが状態の良いまま残っています。特にデバター像(女神像)は、その存在感と美しさから「東洋のモナリザ」とも称されています。

バンテアイ・スレイ遺跡は、瓦礫やラテライト、紅い砂岩で作られた赤茶色の建物です。大規模なアンコールワットに比べると小さいですが、細部にまで施された繊細な美術に圧倒されます。さらに、保存状態も良好で、その美しさを長く楽しむことができます。

バンテアイ・スレイの名前の由来

バンテアイ・スレイ遺跡の名前は、「バンテアイ」と「スレイ」という二つの単語の組み合わせから生まれたものです。

「バンテアイ」はカンボジア語で「砦(とりで)」を意味し、その名の通り、この遺跡は堅牢な構造を持っています。一方、「スレイ」は「女」という意味を持ち、「女の砦」とも呼ばれています。実は、この砦は女性兵士のために作られたものと言われています。

この遺跡の名前の由来は、女性兵士のための砦という歴史的な背景にあります。当時の女性たちは、この砦で防衛の役割を果たし、地域の安全を守っていたのです。バンテアイ・スレイは、その功績と美しさを通じて、今もなお称賛されています。

クメール美術の至宝「東洋のモナリザ」

バンテアイ・スレイ遺跡にあるデバター像(女神像)は、立体的な彫刻が美しく、「東洋のモナリザ」とも称され、その微笑みには神秘的な魅力が宿っています。デバター像(女神像)の微笑みは、まるでモナリザのように独特で不思議なものです。遺跡を訪れた人々は、その微笑みに心を惹かれ、その美しさにうっとりすることでしょう。この微笑みは、遺跡全体に広がる精巧な彫刻や石の表情から生まれています。

フランス人作家のアンドレ・マルローも、この東洋のモナリザに心を奪われた一人です。20世紀初頭の1923年、マルローは、このデバター像(女神像)をカンボジア国外に盗みだそうとして逮捕されたてしまいました。この事件により、バンテアイ・スレイ寺院は広く知られるようになりました。マルローは、デバター像(女神像)に魅了され、盗むことに至った理由を、後に自身の小説「王道」で明かしています。

このデバター像(女神像)は、バンテアイ・スレイに存在する謎多き彫刻です。1000年以上も人知れずに美しいままで存在し続けていたことから、「謎多き」と称されています。特に注目されるのは、その「神秘的なほほえみ」です。このほほえみは、細部までじっくりと見ることでその魅力を存分に味わうことができます。デバター像(女神像)を訪れる方には、双眼鏡の持参をおススメします。保護ロープから約10mの距離で、美しいデヴァダー像の朝日に輝く姿を見ることができます。

デバター像(女神像)は、朝日を浴びた美しさが最も際立つため、早朝に訪れることをおすすめします。朝から多くの人々が訪れ、その輝きに魅了されています。その輝きと美しさは、一生の思い出となることでしょう。ぜひ、バンテアイ・スレイのデヴァダー像を訪れて、その魅力を体感してください。

バンテアイ・スレイ遺跡の歴史

967年、クメール帝国のラージェンドラヴァルマン王により建築が開始され、その後、王の息子であるジャヤーヴァルマン5世の治世に完成しました。

建立は王族であり王師(王の先生)であったヤジュニャヴァラーハとその弟によって行われました。史料によると、王師(王の先生)ヤジュニャヴァラーハは多才であり、国民を助けるため医療や慈善活動にも取り組んでいたとされています。

バンテアイ・スレイ寺院が建設された場所は、古代クメール王朝が発祥した地であり、プノン・クーレン山の麓に位置します。ここは、「聖なる山」としてアンコール朝の歴代の王にとっても神聖な場所でした。

Phnom_Kulen

アンコール朝の衰退に伴い、バンテアイ・スレイは長い間忘れ去られていました。長い年月を経て、その後、地元の人々が野焼きを行い、森の中から再び発見されました。

バンテアイ・スレイ遺跡の一部表面には、火に焼かれた跡が残っており、それは寺院が長年にわたって自然に覆われていたことを物語っています。1914年になって、フランス人の探検家たちがこの寺院を再発見し、その美しさが再び注目を集めることとなりました。

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バンテアイ・スレイ遺跡には、精巧に掘り込まれたレリーフ(浮彫り)が多数あり、その保存状態は素晴らしいものです。全面に美しい彫刻が施されているため、「クメール美術の至宝」と称され、今なお多くの観光客を魅了しています。

バンテアイ・スレイ遺跡へのアクセス

バンテアイ・スレイ寺院は、最寄りの都市であるシェムリアップから車で約40分ほどの距離にあります。一般的な乗り合いバスは運行されていませんが、現地にはトゥクトゥクやタクシーなどの交通手段があり、貸し切りで利用することができます。また、現地オプショナルツアーに参加することもできます。

バンテアイ・スレイ寺院は、アンコール遺跡群の中心地からはやや離れていますが、その分静かで穏やかな雰囲気を楽しむことができます。寺院周辺には森林が広がり、自然と歴史が融合した美しい景色が広がっています。ただし、道路が狭く、また、寺院内部には階段が多く、足元には注意が必要です。

バンテアイ・スレイ遺跡で東洋のモナリザに会おう

いかがでしたか?バンテアイ・スレイは、都市部からやや離れた場所に位置するため、観光に行くには時間がかかります。しかし、その価値は十分にある素晴らしい遺跡です。特に、カンボジアに何度も訪れたことがある方や、滞在に余裕のある方にはおすすめです。時間をかけてゆっくりと観光することで、心に残る体験を得ることができるでしょう。ぜひ、カンボジア旅行の計画に取り入れてみてください。

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