天空の城ラピュタの世界観を味わえるベンメリア遺跡は、アンコール・ワット遺跡群の中でもおすすめの穴場スポットです。ジャングルの奥深くに埋もれ、崩れ落ちたままの遺跡は、まるで時間が止まったかのような不思議な景色を見せてくれます。かつては寺院として使われていたベンメリアですが、今では苔が生い茂り、熱帯樹の根や枝が絡みつき、石が散乱している状態です。そんな神秘的な雰囲気を漂わせる遺跡の中を、自由に探検することができます。また、日本から予約が可能な現地オプショナルツアーもあるため、安心して訪れることができます。ベンメリア遺跡で、普段の生活では味わえない貴重な体験をしてみませんか?
ベンメリア遺跡とは
ベンメリア遺跡は、アンコール・ワット遺跡から東へ約50キロ、車で約1時間の場所に位置しています。ベンメリアという言葉は、クメール語で「蓮池」という意味を持っています。その名のとおり、崩壊した建物の周りには美しい花のレリーフが点在しており、見る人を魅了しています。
ベンメリアは、東西1200メートル、南北900メートル、幅45メートルの巨大な環濠で囲まれた平面展開の寺院です。アンコールワットを凌ぐ規模とも言われており、その巨大なスケールは見る者を圧倒します。また、アンコール・ワットと多くの共通点があることから、「東のアンコール・ワット」とも呼ばれています。
約30年にわたる内戦中、ベンメリアは放置されていましたが、地雷の除去が進み、2001年に一般公開されました。修復作業は進行中ですが、現在でも地雷が残る危険な箇所があります。しかし、その一方で地元の人々は依然としてその地で生活を営んでおり、子供たちが遊ぶ姿も見られます。
崩壊した状態で保存されたベンメリアは、そのままの姿が魅力であり、多くの観光客を魅了しています。
ベンメリア遺跡の歴史
ベンメリア遺跡は、クメール王朝が滅亡した後、密林に埋もれたまま忘れ去られていました。1860年にフランスの植物学者アンリ・ムオによって一部が発見され、ベンメリア遺跡が再び注目を浴びることになりました。
しかし、1970年代にポル・ポト政権が台頭し、激しい内戦が勃発したカンボジアでは、多くの遺跡が戦禍に巻き込まれました。結果的に平和が戻り、1992年にユネスコの世界文化遺産に登録されましたが、同時に危機遺産リストにも登録されました。
その後、ベンメリア遺跡の保護活動が始まり、2004年に危機遺産リストから外されました。しかし、この遺跡は崩壊が進んでおり、修復作業は進んでいません。そのため、発見当時のままに残されています。ベンメリアの貴重な歴史と文化遺産を守るため、今後も慎重な保護活動が必要とされています。
ベンメリア遺跡に残るレリーフ
「ベンメリア」とは、クメール語で「蓮池」を意味しており、崩壊した建物の一部には蓮の花をかたどったレリーフが残されています。かつてはヒンドゥー教の寺院でしたが、後に仏教の寺院に変わったため、仏教をモチーフにした彫刻も多数残されています。
特に、十字回廊にはインドの叙事詩「ラーマーヤナ」やインドラ神を描いたレリーフがあり、昔の壮大な様子を想像させます。東門テラスの欄干には、5つ頭の蛇神ナーガが刻まれています。崩壊した遺跡の中にありながら、美しい姿を保っているこのナーガは、アンコール遺跡群で最も美しいものの一つと言われています。
天空の城ラピュタ
ベンメリア遺跡はアンコール・ワット遺跡群から少し距離があることもあり、カンボジアの観光名所としてはあまり知られていませんでした。しかし、最近ではジブリ映画『天空の城ラピュタ』に似ているという噂が広がり、徐々に人気が高まっています。ラピュタのイメージに近い樹木や岩などが遺跡周辺に見られるため、訪れた人々からも「本当にラピュタのモデルなのでは?」という声が聞かれます。
宮崎駿監督は、ベンメリア遺跡については公式に言及していませんが、そこには確かにロマンがあると言えるでしょう。遺跡内に入ると、まるで主人公になったかのような感覚を味わうことができます。また、ファンの方にはもちろん、ラピュタに関心がない方にもオススメの観光スポットです。
ベンメリア遺跡を訪れる観光客の中で、日本人やアジア人が多く、ジブリ映画の影響力の大きさがうかがえます。現在は、ベンメリア遺跡を観光する現地発着オプショナルツアーがシェムリアップから出ているため、アンコール・ワット遺跡と合わせて訪れる方も多いようです。ぜひ、神秘的な雰囲気に包まれたベンメリア遺跡を訪れ、その美しさを感じてみてください。
ベンメリア遺跡を訪れる際には注意
遺跡内の通行制限は現在は特に設けられていませんが、安全面には十分注意しましょう。遺跡を守るためにも、自分ができる範囲での配慮が必要です。今後、整備されることで立ち入り禁止になる場所が出てくるかもしれません。また、ジャングルの中にある遺跡なので、毒ヘビやサソリなどの危険生物にも注意が必要です。遺跡観光を楽しむには、事前の準備や周りへの配慮が欠かせません。ベンメリア遺跡を訪れる際に、気を付けるべきポイントを紹介します。
入場券
アンコールワットの入場券とは別に、別途購入が必要です。アンコールワットの入場券を持っていれば、ほとんどの関連する遺跡に入場することができますが、ベンメリア遺跡には入れません。入場前に事前に購入する必要があることをお忘れなく。
お手洗い
ベンメリア遺跡内にはお手洗いはありません。観光客向け用のお手洗いが、チケット売り場のそばにありますので、入場前に利用することをお勧めします。
歩きやすい靴
ベンメリア遺跡は、足場が悪いため、運動靴を履くことをお勧めします。特に履き慣れたものでなければ、歩きづらくなる可能性があります。
飲料水
ベンメリア遺跡内には売店がないため、飲料水は持参することが必要です。カンボジアの暑い気候下では、水分補給が欠かせず、熱中症のリスクも高くなります。現地で申し込むオプショナルツアーでは、飲料水も提供してくれることがほとんどですので、快適に観光を楽しむことができます。
ベンメリア遺跡に行こう
ベンメリア遺跡には他のアンコール遺跡群にはない魅力があります。その魅力とは、手つかずのままに残された廃墟から感じられる神秘的な雰囲気です。何百年もの歴史が刻まれたその場所に足を運び、自分自身でその魅力を肌で感じてみることができます。人工的に造られた観光地では味わえない、自然が生み出したロマンを探しに、ぜひベンメリア遺跡へ足を運んでみてください。