1969年、インドネシアのサンギラン地域で農夫が農作業中に、人類の祖先とも言われるジャワ原人の化石が発見されました。農具が当たった部分はやや破損していたものの、顔の形まで明瞭に分かったとのことです。この発見により、世界遺産として認定されたサンギラン初期人類遺跡には、今までに発見された人類化石の半分が存在しています。ここは、人類の進化について知る上で貴重な場所であり、世界中から多くの研究者や観光客が訪れています。
サンギラン初期人類遺跡とは
サンギラン初期人類遺跡は、インドネシアのジャワ島中部の静かな農村ソロの近くにあります。この場所は、多数の人類遺跡や化石が発見されており、特に人類化石の発見には、多大な貢献をしています。実際、世界中で発見された化石の半分が、この場所で発見されたものだと言われています。
1891年にオランダ人医師のデュボアによって最初の化石が発見され、その後、1930年代にはオランダ人人類学者のケーニヒスワルトが、ジャワ原人の頭蓋骨などたくさんの化石を発見しました。これらの発見により、人間と猿との中間的な存在である「直立猿人」と言われるジャワ原人の存在が明らかになったのです。
この遺跡は、20万年前の地殻の隆起によって50万年前から80万年前の地層が露出したことがきっかけで、多くの化石が発見されました。古代人類学において重要な役割を果たしているサンギラン初期人類遺跡は、1996年に世界文化遺産に登録され、世界中から多くの研究者や観光客が訪れています。
サンギランの発掘場では、少なくとも150万年前ごろから、比較的新しい1万年前ごろの人間の形跡があることが分かっています。メガントロプス、ジャワ原人、ホモ・エレクトゥスなどの初期人類の化石が多数見つかっており、その数は世界で発掘された化石の半数に相当するとされています。
サンギラン初期人類遺跡で発掘されたものの一部は、サンギラン博物館で公開されています。
サンギラン初期人類遺跡のみどころ
ジャワ原人の展示
サンギラン博物館は、ジャワ島で発見されたジャワ原人に関する展示が特徴的な博物館です。博物館内には等身大のジャワ原人のフィギュアがあり、骨格標本を基に作られています。細部にわたって再現されたフィギュアは迫力があり、彼らの暮らしをリアルに感じることができます。
展示はジャワ原人が生活していた当時の様子をわかりやすく解説しており、学びが深まることでしょう。ジャワ原人の微笑ましい表情を見ると、彼らが人間に近い存在であったことがわかります。制作の様子がビデオで紹介されているのも見逃せません。
ジャワ原人の頭蓋骨
さらに、博物館内にはジャワ原人の頭蓋骨の展示もあります。頭蓋骨は、ジャワ原人が生きていた時代によって展示方法が異なり、わかりやすく分類されています。ジャワ原人は小さな頭蓋骨を持っており、現在の人間の3分の2ほどの脳の大きさでした。額は膨らんでいるだけではなく、低く倒れている形が特徴的です。これらの展示を通して、ジャワ原人の生活や特徴を深く理解することができます。
古代生物の化石
サンギラン博物館は貴重な古生物化石のコレクションが豊富で、特に出土した動物の化石に注目が集まっています。博物館では、本物の化石を展示しており、一部は触ることができます。展示されている化石には、バッファローやカメなどの生物の頭蓋骨や甲羅が含まれており、見る価値があります。
また、最近ではマンモスの骨の発掘も行われており、多くの人がその骨を見るために訪れています。サンギラン初期人類遺跡は、未発見の化石がまだたくさんある可能性があるので、今後も注目が集まるでしょう。
サンギラン初期人類遺跡のアクセス
サンギラン博物館へのアクセスは、ジャワ島中部のソロ市から簡単に行くことができます。ソロ市からバスや鉄道を利用して、1~3時間程度の移動となります。ソロ市のバスターミナルから約50分の距離にあるサンギラン博物館は、バス通り沿いに大きな看板がありますので、目印にしましょう。
サンギラン博物館へは、バス停から公共交通機関はありません。しかし、待機しているバイクタクシーで移動することができます。バイクタクシーの価格は交渉が必要ですが、値段が決まれば博物館までスムーズに移動することができます。また、徒歩でも1時間ほどで到着します。途中には小さな村があり、のどかな景色を楽しみながら博物館まで歩くこともできます。
サンギラン初期人類遺跡へ行こう
サンギラン初期人類遺跡は、人類進化の歴史において重要な役割を果たしてきました。世界遺産に登録されたこの地では、ジャワ原人をはじめとする多くの人類化石が発見され、人類の進化を知る上で貴重な情報が得られます。また、サンギラン博物館には等身大のジャワ原人の再現や、化石の展示があり、当時の生活を垣間見ることができます。人類の進化に興味がある方は、必見の場所です。