インドネシアのイジェン火山で体験する神秘的な青い炎

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インドネシアは世界でも有数の火山大国であり、その中でも特に有名な火山がイジェン山です。イジェン火山の火口からは、無数の亀裂から噴き出した火山ガスが常に燃え続け、神秘的な青い光を放つ「ブルーファイア」が広がっています。この不思議な光景は、夜中に登山をすることでしか見ることができず、その美しさには誰もが圧倒されるでしょう。

目次

イジェン火山とは

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イジェン火山は、インドネシア東ジャワ州バニュワンギ県にある火山群です。その中心には、20キロメートル幅の大きなカルデラが広がっており、最高峰は成層火山のムラピ山と呼ばれています。イジェン火山は、カルデラの西側に位置し、1キロメートル幅の美しいターコイズ色をした酸性の火口湖を抱えています。

カルデラの周辺には、多数の後カルデラ円錐丘や噴火口が存在し、カルデラの南側には東西に渡る円錐丘が密集しています。イジェン火山の火口は、直径722メートル、表面積0.41平方キロメートル、深さ200メートル、容積3,600万立方メートルを有しており、活発に噴火を繰り返しています。

この地域で最大の高酸性火口湖であるイジェン火山の湖水は、金属を含む高酸性の水が流れ込んでおり、下流の生態系に深刻な被害をもたらしています。湖の美しい明るいターコイズ色は、水中の塩酸によるもので、そのPH値はバッテリー酸よりも高い約0と言われています

2008年には、探検家のジョージ・クロニスが硫酸の影響を調べるため、小型のゴムボートを使用して湖を調査し、pH0.5の酸性度を測定しました。イジェン火山の湖の水は肉や衣服、金属までも溶かすと言われており、非常に腐食性が強いため、危険です。

イジェン火山は近年、主要な観光地の一つになっていますが、活火山でもあります。2018年には有毒ガスが噴出したため、クレーターは数か月間閉鎖され、周辺住民は避難を余儀なくされました。

ブルーファイア

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観光客がカワイジェン火山に集まる理由の一つは、「ブルーファイア」を目撃できる数少ない場所であることです。自然に発生する硫黄が地球から放出され、硫黄二酸化ガスが形成される際に燃焼し、青い炎が燃え続けています。ブルーファイアは24時間燃え続けていますが、夜にしか見ることができません。

イジェン火山の鋼青色の炎は、ナショナル・ジオグラフィック誌によって取り上げられたことで、急速に観光客が増加しました。火口までの登山には2時間かかり、その後45分間の下山が必要です。青い炎は、硫黄ガスが燃焼したもので、岩の隙間から600度で噴き出しています。この炎は最大で5メートルまで立ち上がり、ガスの一部は液体化して火がついたまま流れ広がります。

イジェン火山は美しい景色と共に、その強さを実感できる貴重なスポットの一つです。

悪魔の金

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イジェン火山の硫黄は、火口湖の端にある亀裂から噴き出る火山ガスから採掘されています。この火山ガスは、陶器のパイプで集められ、中に含まれる硫黄分が管内で結露します。集められた流体の硫黄は濃い赤色で、湯だまりの端から流れ出して明るい黄色の固形物に変化します。固形物となった硫黄は、「悪魔の金」と呼ばれるほど黄色く、採掘には非常に危険な条件が伴います。

この固形物は、鉱山労働者たちによって大まかな塊に取り分けられ、カゴに詰め込まれます。この採掘作業は、周辺住民の重要な収入源であり、1回あたり50,000 – 75,000ルピア(5.50ドル – 8.30ドル)の報酬が支払われています。労働者たちは、急勾配の坂道を荷物を背負って300メートル、そして3キロメートルの道のりを運びます。大半の労働者は1日に2往復し、賃金は重量によって計算されます。

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しかしながら、労働者たちは安全面での保護を受けられず、多くの人が呼吸器の問題を訴えています。約200人の労働者たちが採掘に従事し、1日あたり14トンの硫黄を採掘しています。採掘量は火口内で噴出される硫黄の20%程度に相当します。

イジェン火山のアクセス

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イジェン火山へ向かうには、最寄りの空港はバニュワンギにあるブリビンサリ空港(BWX)です。この空港は国内外から6都市に就航しており、アクセスが便利です。バニュワンギは、ジャワ島の東端に位置し、イジェン火山まで車で約50kmです。また、海を挟んで東には美しいビーチが広がるバリ島があります。バニュワンギの人口は約10万6千人で、観光客にとっても魅力的な町です。

ジャカルタから行く場合

ジャカルタからバニュワンギ空港までは飛行機で移動し、空港から車で現地入りすることが一般的ですが、フライトの本数が限られているため、別のルートもあります。スラバヤ空港へのフライトを利用して、現地まで車で移動する方法もあります。旅行のスケジュールに合ったルートを見つけてください。

バリ島から行く場合

朝出発の1泊2日ツアー、または夕方発の日帰りツアーでイジェン火山の観光を楽しむことができます。デンパサールからバニュワンギまでは飛行機利用や車と船でアクセス可能です。

イジェン火山の観光は深夜に出発するのが一般的です。宿泊は食事と短い仮眠だけで、寝不足になる人も多いです。したがって、0泊2日と考えて計画を立てることをおすすめします。体調管理には注意してください。

観光のベストシーズン

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イジェン火山でのブルーファイアー観測に最適な時期は、5月から10月の乾季です。雨季にはブルーファイアーが見られないだけでなく、有害な硫黄ガスの発生も増加し、危険性が高まります。安全面を考慮し、適切な時期に計画することが重要です。

イジェン火山に持って行った方が良いもの

イジェン火山を観光する際には、以下のようなものを持参すると便利です。

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汚れてもよい服装

イジェン火山には硫黄が多く含まれたガスが発生しており、風向きによってはそのガスが服につく可能性があります。そのため、汚れてもよい服装で行くことをお勧めします。

トレッキングシューズ

イジェン火山は標高が高く、山道や火山灰の多い地形を歩くことになるため、トレッキングシューズを履いた方が安全で快適に過ごせます。普段履きの靴やサンダルなどでは、滑りやすい地形や石ころにつまづいたりするリスクが高くなります。また、トレッキングシューズはしっかりと足を固定してくれるため、足の負担も軽減されます。

防寒具

イジェン火山は標高が高く、朝方の気温はかなり低くなります。特に、登山に向かう深夜から早朝にかけては10℃を下回ることも多いです。ブルーファイアーを見るために山頂に向かう際には、標高が上がるにつれて気温が下がるため、防寒具が必要です。また、山頂では強い風が吹くことがあるため、寒さ対策はしっかりと行っておくことが重要です。

レインコート

イジェン火山は高地に位置しており、気温が低いため、天候が悪くなった場合は寒さが厳しく感じられます。また、雨季の時期には天候が不安定で、急な雨に見舞われることがあります。そのため、レインウェアを持っていくことで、雨や風から身を守ることができます。

ガスマスク

イジェン火山では、硫黄ガスの放出が多く、濃度が高い場合があるため、ガスマスクを持参することがおすすめされています。それによって、ガスの吸入を防いで健康リスクを軽減できます。マスクは現地のツアーでも貸してくれますが、フィルターの機能性が低いため、日本で事前に購入することをおすすめします。また、ガスの種類によって使用するフィルター(吸収缶)が異なるため、注意が必要です。

ヘッドライト

イジェン火山は、日の出前の早朝に登頂するため、暗闇の中を歩くことになります。そのため、ヘッドライトを持参することで、足元が見えず転倒や落下の危険を回避することができます。また、ヘッドライトは周囲の視認性も高めるため、同行者やツアーガイドとの安全確保にも役立ちます。

ゴーグル

イジェン火山では、硫黄ガスや煙の発生が予想されます。これらの煙やガスが目に入ると、非常に刺激的で、目を擦ったり、痛くなることがあります。目を保護するためにゴーグルを使うことがおすすめです。ゴーグルを使うことで、目に入る煙やガスを最小限に抑えることができます。

カメラ

イジェン火山は、ブルーファイアーや溶岩が噴出する様子など、美しい景観を見ることができるスポットの一つです。そのため、カメラを持参することで、思い出に残る写真を撮影することができます。また、イジェン火山の独特の風景や様子を、自分自身の目で見ることができるという魅力もあります。ただし、ツアー中はガイドに従い、安全面に十分配慮したうえで撮影することが大切です。

三脚

深夜から早朝にかけての登山では、光が薄く、撮影に適した明るさになるまでに時間がかかることがあります。そのため、長時間露出の写真を撮影する場合には、手持ちで撮影するよりも三脚を使う方が望ましい場合があります。また、風が強い場合もあり、三脚を使うことでカメラのブレを防止し、よりクリアな写真を撮影することができます。ただし、登山の際の荷物はできるだけ軽くすることが望ましいため、必要最低限のものを持参することをおすすめします。

イジェン火山でブルーファイアを見よう

イジェン火山の青い炎は、世界でも珍しい自然現象の一つであり、その幻想的な輝きは多くの人々を魅了しています。その青い炎を目撃するためには、夜中に山頂までハイキングする必要がありますが、その労力は報われることでしょう。イジェン火山で体験する青い炎の神秘的な美しさは、一生の思い出となることでしょう。

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